ソロー「森の生活」はミニマリストのバイブルなのか!?

2021/11/02

哲学

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ロハス、ミニマリスト、ネイチャーライティング…そういったいま話題の言葉を作った人、そういってもいいアメリカの思想家ソローの名著「WALDEN」をご紹介します。豊かさとは何か? 本来の自分を生きるには? そのような難しい問いの答えが本書には詰め込まれています。


「森の生活」ってどんな本


  • 著者:ヘンリー・D. ソロー 今泉 吉晴 訳
  • 初版年月日:2004/4/8
  • ページ数:435ページ
  • ジャンル:エッセイ

本書の概要

1812年、アメリカ、マサチューセッツ州コンコードに生まれたヘンリー・D・ソローが1845年の夏に、故郷であるウォールデン湖畔で2年2か月にわたり簡素な小屋で一人で暮らしたときの記録です。具体的な自給自足の指南書と勘違いされることも多い本書ですが、多くは古典からの引用や詞的な表現を多用し、当時の都会の生活、特に無駄なことに忙殺されている人々を揶揄しそこから抜け出す方法をおしえたい、そんな思いで書かれた本です。けっして強がりでもルサンチマンでもない「清貧のバイブル」です。


こんな人におすすめです


・社会に違和感を感じたり馴染めないと思っている人


・生きるということに真正面から向き合っている人


・哲学に関心がある人


印象的なシーンとフレーズ


引っ越すのは、世界を捨て、燃え尽くすにまかせ、再生する生き生きした世界に移り住むこと、ではないのでしょうか? 「森の生活」ヘンリー・D. ソロー 今泉吉晴訳  p85

山のような家具を引きずって引っ越しをする人を見て、ソローは貧しさを感じます。ものが多ければ多いほど、それらに縛られて本来私たちが持っている自由という贅沢を忘れてしまっているからです。不要なものを処分して自由になるきっかけとして、引っ越しをうまく利用しない手はありません。昨今では、引っ越しが多い転勤族の人の方が、無駄なものが少なく豊かな生活をしているのかもしれませんね。


前に進めるのは、何ごともひとりで始める人です。他の人と旅をしようとすれば、その人が準備をするのを待たねばならず、結局、始めるまで長い日々を無駄に過ごすことになるでしょう。「森の生活」ヘンリー・D. ソロー 今泉吉晴訳 p92

この一文は実際の旅行についてではなく、人生、働き方について、その方法を提案しています。寂しさから人は常にだれかと一緒に時間を過ごしたいと考えがちですが、本当の満足を与えてくれる時間は一人でいるときにしか作り出せません。


人は誰もが、ひとりで自分の部屋にいる時より、外でほかの人の間に交じっている時に、寂しさを意識することが多いのではないでしょうか。「森の生活」ヘンリー・D. ソロー 今泉吉晴訳 p
174

ひとりでいることと、人と人の間の実際の距離の遠い近いは関係のないことです。大切な時間をひとりで仕事のために使い、その埋め合わせをするために少しの時間、誰かと過ごすくらいの考え方でちょうどよく、世間の人はだれかの側にいることに時間を使いすぎて、そこから離れることに大きなストレスを感じるように慣れきってしまっている、そうソローは考えました。

わたしの読書感想文

Reconstruction of the interior of Thoreau's cabin wikipediaより

この今泉吉晴さん訳の「森の生活」はとても読みやすく、各ページ上部に注釈がそのたびに載せてあるので、巻末までそれをさがしてせっかくのめりこんだ読書を中断することもありません。ソローが描いたヘタクソなイラストもそのまま描きうつされています。

厚い本でちょっと身構えてしまいますが、大人であればすらすら読むことができるし、いちいち納得してしまうようなアイデアにあふれています。

古代ギリシアから近世の詩人まで、そしてインドや中国の古典もよく知っていて、たびたび引用されています。彼の生活の大事な部分の一つは、古典を読むということでした。人の生き方の答えは新聞や週刊誌にかかれているゴシップの中にあるのではなく、過去の偉人による思想と言葉の中にあるとたびたび言及しています。

古典を読むことと共に大事にしたのは自然を観察し、社会を観察することです。

それらを実現させるべくソローはひとり森に入っていきました。


私のような凡人とは比較できないほどソローは賢い人で、また行動力のある人でした。戦争の資金として使われる税金の支払いを拒否し投獄されたり、南部の奴隷制度に反対し、実際に活動もしていたようです。「市民の不服従」という言葉を提唱しのちにガンジーやマーティン・ルーサー・キングJr等にも影響を与えました。

レイチェルカーソンなど「ネイチャーライティング」と呼ばれている分野の先駆者とも言われています。


資本主義という仕組みの中で生きることに難しさを感じている人にとってはまさにバイブルとなる一冊です。まずは自分がその資本主義というものから抜け出す勇気を与えてくれる、本当の自分として自由に生きていく術を示唆してくれるソローの言葉に出会ってみてください。

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