COP26がスコットランドのグラスゴーで開催されていますね。
もはやCOP名物になったグレタさんのスピーチをじっくり読んで、彼女の主張を掘り下げてみましょう。
私個人としては、彼女を応援していますが当然とても難易度の高い課題に挑戦している人なのでそう簡単にいくとは思っていません。ですが、若い人を中心に少しずつ運動の輪が広がり、何よりも感情論ではなくあくまで科学的に、気候変動への理解が広まり具体的な行動につながればいいと思います。
こんなゆるいことを言っていたらグレタさんに怒られそうですが…
では、見ていきましょう!
COP26におけるグレタさんのスピーチの主な内容
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グレタ・トゥーンベリの自転車 from Wikipedia |
"It is not a secret that COP26 is a failure. It should be obvious that we cannot solve a crisis with the same methods that got us into it in the first place."
「COP26が失敗なのは明らかだ。今までと同じ方法ではこの危機を解決できない。」
まず、「いつも通りの会議」であったことを批判しています。気候変動に関しては即座の対応が求められているのに、ながながと話し合ってみんなが損をしないような妥協点を探っただけだというわけです。具体的にCOP26で合意された内容は次回詳しく見てみましょう。
"We need immediate drastic annual emission cuts unlike anything the world has ever seen.”
「今まで世界が経験したことがないような即効性のある毎年の排出削減が必要。」
これは彼女が一貫して主張していることです。とにかく急げと。
でもこの一文は批判する人にとっては格好の材料となってしまう部分ですね。具体案を出せないところがグレタさんの弱みなんです。
実現不可能な数値目標を掲げても意味がないことは、締約国も企業や団体もわかってます。
"The people in power can continue to live in their bubble filled with their fantasies, like eternal growth on a finite planet and technological solutions that will suddenly appear seemingly out of nowhere and will erase all of these crises just like that.”
「権力者たちは、限りある地球上での永遠の成長や、どこからともなく突然現れてこれらの危機を消し去ってくれる技術的解決策など、空想に満ちたバブルの中で生き続けることができます。」
資源は有限、資源を使う経済成長も有限、これは間違いのないことです。
でも依然として、無限の成長という空想を土台とした話し合いをしているから、いくら話し合ったところで意味がないと彼女は主張しています。
これは体制を変えなきゃ変わらないことでしょう。小さな自給自足のコミュニティを作るなどして実験と実践をするしかないのではないでしょうか?
地球規模で明日から一斉にライフスタイルを変えるというのは非現実的です。
"two-week long celebration of business as usual and blah, blah, blah" to "maintain business as usual" and "create loopholes to benefit themselves".
「いつも通りの2週間のビジネスの祭典。ビジネスをいかに続けて自分たちの利益に結び付けるための。」
結局、各国がそれぞれの利益を主張することだけを考えていて、本当の意味で気候変動を考えて解決策を討議する場所となっていない、という主張です。
私たちは国際会議なんてそんなもんだろう、という半分諦めの気持ちで眺めていますが、彼女や環境活動家にとっては違うのです。
"We know that our emperors are naked."
「裸の王様じゃないか。」
現実を見てほしい、恥を知れというメッセージですね。
最近のグレタさんのツイートより
It is time to take down the Taskforce on Corporate Scams.
— Greta Thunberg (@GretaThunberg) November 3, 2021
Polluting profiteers see offsetting as their “get out of jail for free card” in the climate game.
But offsetting is often a dangerous climate lie.
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「化石燃料産業と銀行は気候変動における悪の一つです。シェル、BP、スタンダードチャータード銀行はグラスゴーでカーボン・オフセットの規模を拡大し、環境破壊者に破壊を続けるための免罪符を与えようとしている」
「今こそ『企業による詐欺タスクフォース』を終わりにする時です。公害をまき散らす利益享受者はオフセットを気候変動取引における『刑務所から出られるカード』と考えている。しかしオフセットはしばしば危険な気候変動のウソとなる。オフセットは人権侵害のリスクをはらんでおり、すでに弱い立場にあるコミュニティーをさらに傷つけることになる」
グレタさんが目指す社会は、一言で言うと脱資本主義になります。
資本主義から脱した後にどのような社会にするのかという明確なビジョンを示しているわけでもなく、実践しているわけでもありません。そこが環境活動家の弱みであり何とも難しいところです。
おそらくですが、アメリカのアーミッシュの人たちのような生活を地球上のみんながすれば、気候変動を抑えることは可能なのでしょう。
資本主義のいいところ、恩恵だけを受けたまま理想の社会に近づけようとすると(必要悪の存在を認めない)いずれ社会は歪んできてしまいます。物事はきれいな面だけでは成り立たず、必ず汚い側面もセットになっていて、そこを暴露してしまうと大変なことになってしまいます。最悪、紛争が起きたりということも考えられるので、気候変動について考える以前の状態に逆戻りしてしまう可能性もあるでしょう。平和で安定している社会に住んでいる人が悩むことができるのが、こういった問題なんです。
個人的な考えですが、グレタさんの主張を通すためには革命を起こすしかありません。彼女も自らの言葉の中で認めているように、現状の枠組みのなかでの話合いで解決できる段階は過ぎてしまっています。
今の枠組みの外、すなわち新しい秩序を打ち立てるしか方法はないのです。
フランス革命の後、アラブの春の後、社会は混乱しました。多くの人が亡くなりそれこそ大量の二酸化炭素とゴミが発生したでしょう。
こういった「今あるものを打倒する」ところから始まる改革は、残念ながら歴史上うまくいったためしがありません。
古来から多くの人がグレタさんのように理想の社会を夢みて様々な活動を行ってきましたが、いずれも失敗に終わるか、未来の人へのメッセージを残すにとどまりました。
でも、変化はゆっくりですが確実に起きていると思います。
彼女のやっていることや今の若い人たちへの批判的な意見もインターネット上で多く見かけますが、一人ひとりができることの大きさを改めて見直し、地道に行動していくほかないのでしょう。
私は応援してますし、自分にできることはすべてやっているつもりです。
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