あなたはルソーと聞いて何を想起しますか?
「エミール?」「社会契約論?」「フランス革命の端緒?」「女性遍歴?」「不可解な行動?」「なんだかわからないけど偉い人?」
どんなイメージでしょうか?
著作を読む前に、ルソーの人生を振り返り背景を理解したいところです。
ということで今回はルソーの誕生から少年期までの記事です。
ルソーの人生はざっくりこんな感じでした
![]() |
Maurice Quentin de La Tour, Public domain, via Wikimedia Commons |
もしルソーが現代の日本に生まれていたらこんな感じだったでしょうか...
大学を中退してフリーターとなり、音楽や作家業で身を立てようといろいろなことに挑戦しますが何をしても長続きせず、ときに会社員になったり、ときに路上生活を経験したり、一か所にとどまらない自堕落な人生だったところに、偶然見かけた小説の公募展にひらめきで応募し、本来の才能が開花し大賞を受賞、40歳にして一躍ときの人となり、テレビなどのメディアにも多く登場しますが、そんな自分も自分ではないと次第に社会と距離を置くようになり、各地を放浪しながら本を書いたり旅行をしたりしながらいくつかの著作を残して、最期はひっそりと死んでいった…そんな人生でした。
こう書くと「よく聞く話」だと思います。
現代にはルソー的な作家さんはたくさんいる。
ルソーの内面は現代人とたいして変わらず、当時の閉鎖的なヨーロッパで生きた人としては極めてまれな存在かもしれません。
先取りしていたというよりも、もともと社会や時代から自分を切り離して考えよう、と意識する姿勢が強かったのだと、私は想像します。
ルソーは一所にとどまりませんでした。
次々に環境を変え、付き合う人も変えていきました。
ルソーを理解するには彼の流浪の生涯をまずは理解する必要がありそうです。
年代と地図を交えながらいくつかの記事にしてみました。
ルソーというひとを理解するきっかけになってくれたら幸いです。
何よりも私がルソーファンですので。
ジュネーブ近郊で過ごした幼少期:1712~1724 (0~12歳)
ルソーはジュネーブで生を授かります(1712年6月28日)
父は時計職人、母は良い血筋の出ということで、当時の中流階級です。
ですが、美しく賢明な母はルソー誕生の10日後に産後の感染症が原因で亡くなってしまいます。
父はルソーが妻を奪ってしまったと、歪んだ感情を抱いたようです。
母がいない家庭となりましたが、親戚や女中からきちんと養育を受け、母が残したたくさんの本に囲まれた生活の中で読書の素地を身に付けます。
父とも読書を楽しんだようです。
やっぱり読書は今も昔も大切ですね。
意外なことですが、特に母が残した恋愛小説がお気に入りだったようです。
未知の経験と感情を読書を通して学んだのでしょう。
ジュネーブ近郊のボセーに移る(1722年:10歳)
さて、ルソーが10歳の時に平穏に暮らしていた一家に変化が起きます。
なんと父が喧嘩をしてしまい町にいられなくなってしまいます。
ここからルソーの人生はレールから外れます。
若干10歳、波乱の人生の幕開けです。
父が剣を抜かなければ、後の著作や楽曲はなかったかもしれませんね。
時計職人としてジュネーブで一生暮らしていた可能性もあったわけです。
ということで、ルソーはボセーという片田舎でしばらく生活をすることになります。
初めての田園生活、得るものも多く少年らしい生活を送ったようですが、ランベルシェ家で起きた小さな事件を発端に周囲の大人から尋問や折檻を受けて、心に傷を負ってしまいます。
のちの回想では、この時期の経験が彼をドМにしたようです。
そこまで「告白」する必要はあるでしょうか?
ジュネーブに戻るが何をしてもうまくいかない(1724年:12歳)
ところで、ジュネーブってフランス語の発音で、英語発音するとジャニーバなの知ってましたか?
最初からジャニーバだったら覚えなおさなくてよかったのに…カタカナ英語はこういうのが多くて嫌になります。
話を戻して、ジュネーブに戻ったルソーは書記見習いをしますが長続きせず、彫金師のもとへ徒弟奉公に出されます。
そこで粗暴な親方から虐待を受け、簡単に言うとルソーはグレます。
喧嘩、盗みなんかの悪いことも相当やったようです。
12~15歳ということで現代人でもグレる年代。
ルソーもしっかり大人と社会に反発をしたわけです。
この辺りも共感を得る所以でしょうか。
やはり後のルソーを形作る重要な時期であったでしょう。
そういえば最近、グレる少年を街で目にしないな。
おとなしくて聞き分けの良い子ばかりな印象です。
大人的には楽ですが。カツアゲ、おやじ狩りなんて最近聞きませんしね。
次回は青年期と苦労が芽吹く成熟期のお話です。
0 件のコメント:
コメントを投稿