シンプルで実用的なテンカラ道具箱を作ってみた

テンカラの仕掛けや道具を収納する、おしゃれな道具箱が欲しい。全てをこの一つに、ミニマルなものでかつ本格的な木工品がいい。そんなコンセプトで試作をしてみたお話です。

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デザイン案

テンカラは道具が少なく、最も大きなものになるロッドも、基本的に振り出し竿なので50~70センチほどの長さです。

そのため、小さな箱状のものでも毛ばりを巻くための道具類を含めたすべてを収納できてしまうと思います。

そこで、上記のようなアイデアスケッチをして実際に制作してみました。

せっかくなので和風の本格的な木工品にしたく、指物で、五枚組継ぎ打ち付け継ぎというものにすることに。「打ち付け」というのは釘で打つという意味です。

この組継方法は古墳時代にはもう見られていたとても伝統のあるものです。木の性質を最大限に利用したものなのですが、加工も簡単で見栄えもよく木工らしさが詰まった大好きな仕口です。

制作をする

私はこれまでに販売用の木製釣り具をいくつか作ってきました。よく売れたのはあばり(クレモナ糸でネットを編むのに使うもの)とテンカラ糸巻きで、ともに百個単位で制作をし売ってきました。

将来的にそれだけ数を作ることを考えると(人気が出ればの話)、なるべく加工は楽かつシンプルにして、ある程度手を抜くことも必要です。今回は試作ということで、その辺の工程も考慮しながら制作を進めました。

といっても、あばりも糸巻きも千円前後でしたので、この道具箱が商品化された場合はゼロが一つ増えてしまうでしょう…一日一台ペースで作れればよいのだが…

本体はヒバ、持ち手の部分はナラにしました。軽い材料なんだけど、持ってみると意外に重たいなというのが第一印象。

迷っていることがいくつかあって...一つは仕上げの方法。仕上げ面を鉋掛けにするか、塗装仕上げにするか。針葉樹の場合は無塗装でも大丈夫で手触りも良いのですが、当然手垢がつきやすく汚れやすくなってしまいます。

結局、鉋仕上げを採用ということにしたのですが、実はこのヒバ、地味に木目が交錯していて鉋掛けが難しいので苦労しました。カナスジも多くて鉋がすぐ切れ止むし…

悩んでいることの二つ目は収納の仕切り。どこでどう仕切ると使いやすいのか。結局深い部分が一つと浅い部分が二段という構造になりました。

まだ全体的に野暮ったい印象がぬぐえないので各部の寸法を詰めていく作業をして、本番かなと思います。特に持ち手部分はもう少し細く見せる工夫が必要です。

実際にしばらく使ってみて

実際に使ってみての感想は、やはり一つにまとまっていると収納に便利だし、この箱に収まるだけの道具にしよう!という決心にもなるので、ミニマルなテンカラというコンセプトにはぴったりです。

加えて、和風を強調した見た目にしたので、テンカラのイメージとも合っていて見ているだけでワクワクします。

ですが深い部分の収納方法はまだ改善の余地があるのと(ロッド、バイスなどを差し込むような穴を付けたりとか)、二段になっている部分が持ち手の影響で少し取り出しづらいのが気になります。

あと二段の部分には蓋があってもいいかもな、とも思いました。思っていた以上にほこりがたまってしまってしまいます。

実際にしばらく使ってみて、改良していけたら皆さんにも買っていただけるだろうか。やはり仕切りはオーダーメイドにするべきか、とも考えています。

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